平成29年度第1回被災地訪問のご報告

 法友会東日本大震災等復興支援特別委員会では,平成29年7月2日(日)~3日(月)の日程で,被災地訪問に行って参りましたので,ご報告致します。平成24年12月の第1回目の訪問から数え,今回が15回目の訪問となります。主な行き先は,過去14回の間に訪れたことのない宮城県名取市で,修習生を含め24名の方にご参加頂きました。
 名取市では,関連死を含めて964名(平成26年3月31日現在)もの方が犠牲になられ,最大で1万1000名を超える方々が避難を余儀なくされ,更に,半壊以上の建物が5000棟以上という甚大な被害を受けました。死者・行方不明者のほとんどは津波の被害によるもので,閖上地区をはじめ沿岸部では特に壊滅的な被害を受けました。

 まず1日目,午前中に東京駅から新幹線で仙台駅に向かい,駅からは貸し切りバスで名取市に移動して昼食を取りました。昼食は,閖上さいかい市場という平成24年2月にオープンした閖上・下増田地区で被災した24店舗7事業所の仮設店舗が集まった場所の内,浜やという人気店で海鮮丼を頂きました。高級食材で有名な閖上の赤貝も,事前情報ではこの時期禁漁で食べられない可能性が高かったところ,運良く頂くことができました。

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 午後には,名取市文化会館において,閖上地区街づくり協議会の方々との意見交換会をさせて頂き,また,協議会の方々はもちろん被災者でもあるため,3つのグループに分かれた上でお茶菓子を囲んで被災者の立場としても個別にお話を伺わせて頂きました。
 協議会の方々からは,当初は毎週,現在は月2回程度,震災から6年以上の間に既に100回以上夜遅くまで世話役会という協議の場を重ね,住民の意思を取りまとめ,行政との協議も重ねてきたという苦労をお聞きしました。また,他の被災地では被災場所とは離れた場所で復興を目指すことも多いなか,閖上地区においては,長い協議の結果,現地再現という目標を掲げることとなり,現地で5mかさ上げをした上で更に1階は非居住スペースにするなどの工夫を施して現地での復興を実現させることになったお話など,多くの貴重なお話を伺うことができました。

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 夕飯は再び閖上さいかい市場に戻り,今度は若草寿司というお店で,お寿司や「純米酒 閖(ゆり)」を始め美味しい日本酒も堪能しました。引き続きホテル近くの居酒屋に移動して二次会,さらにはホテルでの三次会と名取での夜を過ごしました。

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 2日目の午前は,閖上震災を伝える会語り部によるガイドツアーに参加致しました。内陸部とは異なり,まさに復興途上の沿岸部の閖上地区の現状を目の当たりにし,また,標高6.3mの日和山の丘の頂上から更に2.1m高い位置まで津波により浸水した傷跡が残る一本松を見るなど,震災による被害を改めて肌で感じました。

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 昼食は末廣寿司分店にて再び美味しいお寿司を味わい,午後には,名取市震災復興部の職員の方々との意見交換会の場を設けさせて頂きました。今度は行政側の視点から,6年間の震災復興の取り組み,乗り越えてきた問題,今後の課題等の貴重なお話を伺いました。

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 その後は,バスで仙台弁護士会に移動し,仙台弁護士会の災害委員会所属の先生方との意見交換会をさせて頂きました。仙台弁護士会の先生からは,災害により自宅が損壊したものの,避難所や仮設住宅には行かずに,被災した自宅で居住されている「在宅被災者」が,かえって被災者として評価されずに災害救助法の救助を受けられずにいるなど,避難所や仮設住宅に入った被災者との間で大きな情報格差や支援格差が生じてしまっているという問題等について詳細に教えて頂きました。

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 なお,名取市震災復興部及び仙台弁護士会災害委員会には,当委員会の過去の被災地訪問の経験を基に本年4月に発行するに至った『所有者不明の土地取得の手引』を贈呈させて頂きました。

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