業革第9回研修「個人情報保護法の実務と運用状況」レポート

1部67期 藤原亮太

令和6年1月17日(水)、弁護士会館において、今年度第9回目となる業務改革委員会研修「個人情報保護法の実務と運用状況」がハイブリッド方式により開催されました。
ご担当いただいた講師は、東京弁護士会所属法友会6部49期の鶴巻暁先生です。鶴巻先生は、個人情報保護法の成立時から運用に関り、個人情報保護法に関する書籍を執筆されるなど、個人情報保護法分野の問題について大変造詣の深い先生です。
参加人数については、合計40名、うちリアル参加は5名に及び、大変盛況となりました。
講義は、「個人情報保護法制の沿革」、「令和3年改正法の概要と関連用語の解説」、「罰則の運用状況と両罰規定」、「自己情報コントロール権の現在地」という章立てで行われました。
冒頭、プライバシーの権利が生まれた経緯について、解説していただきました。
令和3年改正法の概要では、官民一元化後の国の行政機関、規律移行法人及び民間事業者において、いかなる規律が適用されるのか、規律移行法人における本人からの開示等請求に係る規律及び匿名加工情報の作成・提供につき、引き続き公的部門の規律を適用するのは何故なのかといった点などにつき、関連用語を含めて詳しく解説していただいたことで、重要部分を的確に理解することができました。
罰則の運用状況については、罰則の対象などに関する条文の解説だけでなく、事例を複数挙げていただき、事例に即した具体的な問題点を示していただきました。
自己情報コントロール権をめぐる議論では、個人情報保護法における本人同意の位置づけについて、各条項の要件を確認するだけでなく、広範な例外が認められている条項の問題点や同意偏重の弊害について、多角的な視点から理解を深めることが重要であると分かり、大変興味深い講義をしていただきました。
研修会後には弁護士会館の地下で講師を囲んで懇親会を開催し、講義での質疑応答に引き続き闊達な議論がなされ、有意義な懇親の機会となりました。
残りわずかとなりましたが、本年度の業務改革委員会では、2月21日(水)及び3月5日(火)のいずれも18時30分から研修を開催いたしますので、奮ってご参加ください。