業革第3回研修「企業価値担保の活用に向けて」レポート

8部66期 小熊 弘之

 2024年12月18日(木)、弁護士会館において、今年度第3回目となる業務改革委員会研修「企業価値担保の活用に向けて」がハイブリッド方式により開催されました。
 ご担当いただいた講師は、東京第一弁護会所属で42期の井上聡先生です。井上先生は、法制審議会担保法制部会委員(2021年~現在)の委員として担保法改正一般に関わるとともに、この企業価値担保権について、金融審議会「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するWG」委員(2022年~2023年)として立法過程に携わるなど、企業価値担保権に精通しておられます。
 講義では、本年6月に成立した「事業性融資の推進等に関する法律案」において、新たな担保制度として創設された「企業価値担保権」に関してご解説いただきました。
 まず、「1.現状の課題と検討の経緯」として、成長企業や金融機関等の当事者からみた現状の課題と企業価値担保の必要性について整理がなされました。続いて、「2.企業価値担保制度の概要」として、債権者が総財産を担保に取りつつも、債務者の経営権が確保されることや、企業価値が維持されることなど、企業価値担保の特徴についてご説明いただきました。次に、「3.企業価値担保について、よくある質問」として、疑問が生じやすい部分について、Q&A方式でご解説いただきました。最後に、「4.企業価値担保の活用に向けて」として、具体的な財務制限条項や、手続きの流れ等について具体的にお話いただきました。
 立法に携わられた井上先生ならではの、立法趣旨から遡った制度のご説明と具体的な適用場面のご紹介により、短時間で、企業価値担保の概要が理解できたように思います。
 業務改革委員会では、会員の皆様に有意義な情報を提供できるよう、これからも実践的な研修を企画していきます。ぜひ多数の会員の皆様にご参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。
業革第3回研修「企業価値担保の活用に向けて」レポート