業革第1回研修「ハラスメント防止と社内コミュニケーション」レポート
10部64期 吉岡 早月
ハラスメント対策というと、法律や裁判例の解説を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、今回の研修では、法的な知識の紹介は必要最小限にとどめ、「なぜ同じ言葉でも相手によって受け止め方が違うのか」「どうすれば信頼関係を築きながら指示指導ができるのか」といった、コミュニケーションや心理学の視点を中心に解説がありました。
波戸岡先生からは、言葉そのものだけでなく、表情や態度、声のトーン、日頃の信頼関係がコミュニケーションに大きな影響を与えることが紹介されました。
また、人は誰でも「認められたい」「理解されたい」という欲求を持っていることや、安心して発言できる環境が主体性や成長につながることなど、心理学の知見を交えながら解説がありました。ハラスメントを防ぐためには、「何を言ってはいけないか」を考えるだけではなく、「相手が安心して話せる関係をどう築くか」が重要であるとのお話が印象的でした。
具体的なコミュニケーションの方法としては、相手の話を途中で遮らず最後まで聴くこと、相づちを交えながら関心を示すこと、「なぜできなかったのか」と問い詰めるのではなく、「次はどうすればうまくいきそうですか」などといった問いかけによって、相手自身が答えを見つけられるよう関わることなどが紹介されました。
さらに、「NGな態度」と「おすすめの態度」の違いについても具体例を交えながら説明がありました。腕組みやスマートフォンを見ながら話を聞く、途中で話を遮る、すぐに評価やアドバイスをするといった対応は、相手に「話を聞いてもらえていない」という印象を与えやすい一方で、うなずきや要約を交えながら最後まで話を聴くことや、努力や変化を認める声掛けは、信頼関係の構築につながるとの解説がありました。
最後に、「ハラスメント対策は、日頃のコミュニケーションを少し変えることで未然に防ぐことができる。弁護士も、法律の専門家という立場に加え、人と人との関わり方という視点からクライアントを支援することが求められている」とのメッセージが送られました。
法律論だけでなく、心理学やコミュニケーションの視点からハラスメントを考える内容は新鮮で、日々の相談対応や事務所内での人間関係作りにも役立つ多くの示唆に富んだ研修となりました。