業務改革委員会・政策委員会民事司法改革部会・12部法曹同志会共催「弁護士業務と次世代技術のかかわり~生成 AI を使った弁護士業務の可能性~」レポート

12部72期 中谷百合子

令和5年12月6日(水)、弁護士会館において、業務改革委員会・政策委員会民事司法改革部会・12部法曹同志会の共催で「弁護士業務と次世代技術のかかわり~生成 AI を使った弁護士業務の可能性~」がハイブリッド方式により開催されました。
参加人数は、リアル参加が18名、オンライン参加が35名という大盛況となりました。
ご担当いただいた講師は12部所属63期の恩田俊明先生です。恩田先生は弁理士の資格も有され特許事務所で知財創出・活用案件に携わられたご経験を活かし、日弁連や東京弁護士会においてIT化、特にAIについての様々な対策チームの主要メンバーとしてご活躍されています。
講義は、本年7月1日に行われた法友会旅行総会シンポジウムにおいて、弁護士業務におけるAI技術の活用可能性について白熱した議論がなされたことを受け、実際の日常業務への利用可能性について解説していただきました。まず、①生成AIの基礎として、様々な種類の生成AIが存在し、それらのAIの進化と技術動向や、世界と日本の施策についてご説明いただきました。つぎに、②弁護士と生成AIの関わり方として、文書作成や法令リサーチ、事例分析におけるAIの現時点のレベルのみならず、AIを活用する際の法的倫理的注意事項もご指摘いただきました。さらに、③業務展開の可能性として、他業界での活用成功事例をふまえ、弁護士業務における実践的応用例を紹介いただくとともに、将来的な利便性の見通しを示唆していただきました。
 AIは息を吐くように嘘をつく。この言葉は衝撃でした。講義前に抱いていた「使えたら業務が飛躍的に便利になるだろうな」という漠然とした期待は見事に打ち砕かれ、「AIをどう使うか、またどう使ってはいけないかを自分でしっかり見極めないといけない」という危機感を抱きました。他の講演では聞くことのできない不都合な真実を知ることができたのは、本研究会ならではと思います。
 AIの波に取り残されてはいけないが、安易に妄信してもいけない。AIの限界を知ったうえでその活用方法を考えれば、きっと幻滅することもなく現実的な「うまい使い方」ができる、ということがわかり、非常に有意義な研修でした。
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