幹事長挨拶【令和5年度】

令和5年度法友会幹事長相川 泰男

ご挨拶

謹啓 陽春の候 法友会会員の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。2023年度の法友会幹事⻑を拝命いたしました相川泰男(6部41期)から、新執行部を代表して、就任のご挨拶を申し上げます。

名実ともにアフターコロナの時代を迎え、失われた3年を取り戻すべく、法友会においても活発な活動が再開されつつあります。この間、未曾有のパンデミックや、ロシアによるウクライナ進攻、異常気象による大規模自然災害の多発等を目の当たりにして直面するのは、私たちは、否応なく国際社会の一員としてこの地球上に存在しているという事実です。その帰結として求められているのは、決して自国(自分)のみの利益や特殊性に固執してはならず、法の支配のもと、国際社会の健全な進化や世界の平和と安全に向けての、各国(各人)の共感と協調、そして他者へのリスペクトに基づく真摯な対応です。

そうした中、2015年9月に国連加盟国の全会一致で可決されたSDGsは、法友会としても積極的に取り組むべき目標を提示していると考えます。すなわちSDGsの目指すところが、「世代を超えて、すべての人が、自分らしく、よく生きられる、包摂社会の実現」であるとすると、私たち弁護士においても、「若手世代が活躍の中心となるよう、会員の誰一人取り残すことなく、各人が自分らしくその個性や特徴を活かして、心身共に充実し安心して職務に取り組める」よう、そのための会員の支えになる法友会、これを目指して、活動を進めてまいりたいと考えております。

そこで、今年度の活動の目標として、「未来に向けて会員のありたい姿の支えになる法友会」を、パーパスとして掲げました。
具体的には、会員とその関係者への適切な情報提供、福利厚生、研修、業務支援等の機会を充実させ、会員の自己実現と社会貢献のためのプラットフォームの役割を果たしつつも、それにとどまらず、東弁を支える会派としての役割を認識し、東弁会員の40%以上が無派閥であるという現状を踏まえ、無派閥会員に対しても法友会から積極的な情報提供のアプローチを行い、仲間を増やすための会員拡大を目指したいと考えています。

また、私たちがその擁護を使命とする人権については、日本では、常に人権問題に晒されている諸外国に比べて、あらゆる人間の尊厳を重視して自分の仲間であってもなくても同等に扱われるべきとする、国際人権の意識が希薄であると評されることがあります。この点、性的少数者やジェンダー、難民問題など、前記したSDGsや国連人権理事会で承認されたビジネスと人権に関する指導原則の見地からも、今まさに司法の力が求められており、国際人権基準に照らした人権意識の更なる啓発に努める必要があると考えます。

加えて、パンデミックにより人の移動が制限される中にあって、オンライン手続の拡充等により、紛争解決の最大インフラである⺠事司法制度についても、司法アクセスに関する障壁を超えて利用できるよう取組みが進められています。日本でも、民事司法制度改革の一環として民事裁判手続等のIT化が進捗し、23年度中には口頭弁論手続がウェブで行われるようになり、25年度中には昨年5月に成⽴した民事訴訟法改正法が全面施行され、オンライン手続が普及する見通しです。日本は先進国の中でも、司法制度のIT化が遅れてきたとの指摘もあるところですが、急速なIT・AI技術の進化により社会に革新的な便益がもたらされる中、司法アクセスに改善をもたらす民事裁判手続等のIT化や国際化についても、しっかりとキャッチアップをして、積極的に取り組んでいく必要があります。IT化に向けたフォローアップをしっかり行うと同時に、リーガルテック等により効率化した時間の有効活用や、法律事務所の情報セキュリティへの対策についても、検討していきたいと考えています。

そのほか、弁護士会の会務と自治を支える政策提言、人材推薦が重要であることは申し上げるまでもありません。

さて、今年度執行部は、私の非力を補っていただくべく、道あゆみ事務総長兼幹事長代行(12部47期)と田島正広事務総⻑(10部48期)との3名によるトロイカ体制のもとで、後記の才気あふれる精鋭の副幹事⻑、事務次⻑の⽅々と一緒に、やりがいと楽しみを旨として、未来につながる1年間となるよう運営してまいる所存でございます。

そして、前例に囚われすぎず自由な発想で一歩前へ、ポストコロナは元に戻るのではなく新しい日常へ、とあゆみを進めたいと考えております。

会員の皆様の温かいご指導ご鞭撻、そしてご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

敬白

令和5年4月1日
令和5年度法友会幹事長
相川 泰男